2014年5月6日火曜日

結論ありきな「ソフトバンクiPhone6危機」説

IT系のネットメディアやそれなりに知見のある記者が書く記事にはそれほど的外れなものはありませんが、全国紙の経済部記者はピントのぼけた記事を書くことがたまにあります。「月次契約数発表中止の裏に「iPhone6」の存在」はその典型ではないでしょうか。記事によるとiPhone6で契約流出が懸念されているソフトバンクが契約数の公表中止を主導したとなっています。


確かにソフトバンクが契約数の公表を止めたいとしていた話はありました。しかし、その理由にiPhone6が関連していると言うのは飛躍し過ぎでしょう。敢えて穿った見方をするなら、ソフトバンクが「純増」にこれ以上無駄金を使いたくなかったという解釈が妥当だと思います。またどのキャリアも過当競争を止めたがっていたのは同じです。その状況で敢えてソフトバンクだけの事情を考えるのも不自然です。

ソフトバンクは良くも悪くもお金の使いどころを知っています。純増競争はこれまで国内の競争で優位に立っている、勢いがあることを示すのに有効に作用してきました。そのためお金を沢山使って純増を稼いできた経緯はあります。しかしソフトバンクの主戦場が国内から海外へと広がったことで、国内の純増にそれほどお金をかける意味がなくなったと理解すべきでしょう。

iPhoneは3社が取り扱っているとはいえ、未だにソフトバンクの優位性が保たれている数少ない分野です。これと「契約数公表取りやめ」とを絡めると全体がぼやけて見えてしまいます。やはりこの記事は注目度の高い「iPhone」と「ソフトバンクの危機」というキーワードでアクセス(注目)を集めようとしただけに見えます。