2014年5月20日火曜日

今回の騒動でヤフーは色あせてしまった

Yモバイルの買収撤回は衝撃的でした。公式には「当社(ヤフー)はサービス、イー・アクセスはインフラというそれぞれの強みを生かした協業の形で事業を進めていくことが望ましい」としていますが、この他にも今回の中止には原因がいくつか考えられます。

携帯電話の周波数割り当てルールが企業ごとではなくグループが基準となるように変更されたことで、そもそもヤフーにイー・アクセスを売却する必要がなくなったのも一つの理由でしょう。また買収金額が大き過ぎてヤフーに不利な条件(ソフトバンクの現金調達)なのでは?ともいわれてきました。

おそらく、これら理由がそれぞれが複合して買収中止に至ったのでしょう。しかしどの理由をみてもヤフーの評価は下がってしまいます。まず公式見解となった理由は買収発表直後から懸念されていたことであり、その程度のことはクリアしてから発表するのが通例です。ヤフーは通信事業の見通しを誤ったと言われても文句は言えないでしょう。

そして周波数や譲渡額の件で買収が中止となったとすれば更に根深い問題になります。結局ヤフーはソフトバンクの都合のいいように運営されていた、ということを裏付けてしまいます。イー・アクセス買収打診はあくまでヤフー側からだったのが建前ですが、ソフトバンクに何らかのメリットを与えるためにグループとして動いたとすれば、やはり大問題です。

ヤフーはソフトバンクの子会社ではありますが、独立した株式会社で上場までしています。その企業が親会社ばかりをみて経営していていは、他の株主、さらには利用者からの信頼も失うことになるでしょう。なんとも格好の悪い買収発表と買収中止でした。無理筋なのはわかっていましたが、それを覆すだけの底力はヤフーにあるはずで、期待していただけに残念感も大きいです。


ヤフーの株価(11時13分時点)は大幅に反発しているものの、買収発表翌日の水準も回復できていません。